活気と創造力溢れる若者を増やし、彼らが活躍できる「企業」と「起業」の環境を整えること

村上 直樹(なおき)です。

ウクライナ侵攻を機に、円安が著しく進んでいる。日本の経済の衰退が、一層明白になった。日本に住む個人はドルを含む多国籍資産の構築、政府は、経済構造の根本的な改造を迫られている。

仮にMMTが正しくても「特効薬にはならない」訳より

“国際通貨基金IMFは、高齢化が進んでいる国ほど、政府支出増加の効果は小さくなると分析しています。OECD加盟の17カ国を分析したところ、政府支出の増加から4年後の経済効果は、高齢化の進んでいる国では、高齢化が進んでいない国の3分の1しかなかったそうです(Aging Economies May Benefit Less from Fiscal Stimulus, August 2020)。

こうなる理由は、高齢化が進むほど、政府支出の増加が個人消費と設備投資を喚起する効果が小さくなるからです。政府支出の増加は生産年齢人口が最も大きな恩恵を受けるので、生産年齢人口の比率が小さくなるほど、その効果は薄れるのです。”
日本は超高齢社会と呼ばれるほど、高齢者の割合が多く、日本の経済は、日常での消費の必要性が少ない高齢者が担っています。(内閣府曰く、「高齢者世帯は現役世帯に比べ所得が少ないことや子どもの教育費などの支出が一段落するなど必要な消費額そのものが少なくなる。」)

この状況下で、大半の企業は、あまり儲かることはありません。そして日本の賃金は低下し、賃金が下がったことによって企業の収益力はさらに低下する負のスパイラルがこの数十年続いてきました。

今、個人ができることは、節約を行うか、副業を始め、個人年金(海外)の積み立て収入源を確保することです。トマ・ピケティが証明した通り、経済成長と連動する労働収入の上昇率よりも、複利によって増える資産の増加率の方が大きいです。言い換えると、労働だけの人と、労働収入にプラスして、資産を働かせる人の収入の差は、年を重ねるほど、幅が開いていくという現実があります。

また今、政府が出来ることは、大規模な財政出動を打ち出して

  1. 親が子供を持つことへの経済的不安を減らし、子供を増やすこと、
  2. 海外の技術者や研究者の招聘を国策として行い、また企業が技術者や研究者とオンライン上でマッチングできる機会を促進すること、
  3. 企業や大学の研究開発に対する投資を大幅に伸ばすこと、その結果として、20年後の消費人口と新産業構築力を強化することです。

もし政府支出を効果的なものにできなければ、政府支出の効果よりも日本の負債増加額の方が大きくなってしまいます。これを防ぐためには、活気と創造力溢れる若者を増やし、彼らが活躍できる「企業」と「起業」の環境を整えることです。